LoveBomb

触れるくちびる (前編)

2015/11/17 20:00 |触れるくちびる(完結)


『ほみんほ友の会・萌え萌え企画』参加作品
第一回テーマ「初めてのキス」








******








平凡な毎日というものは
幸せだと解っているけれども
それはそれでつまらないものだ

そして、心の何処かで
強い刺激を求めている


例えばこの身を焦がすような恋がしたいとか

ドラマみたいなストーリーを夢見て…



「そこのお兄さん」

「えっ?」


声のする方に振り向けば
物凄く胡散臭そうな老婆

どうしたのかと立ち止まれば
ニヤリと笑って言った


「平凡な毎日に嫌気がさして
刺激を求めているんじゃろぅ?」

「……」


気味が悪い

そう思ったのに何故かカラダが動かず
立ち去る事も出来ない

そして差し出されたものはタブレット


…押し売りか?


「私の話しを信じるか信じないか
それはお前さん次第…」

「…これを買えって事ですか?
申し訳ないけど俺はタブレットなら持ってるから…」

「このタブレットには呪いがかけられておってな
可哀想な男が閉じ込められておるんじゃよ」

「…はぁ…」


何だそれ
どんな作り話だよ
しかも、だから何だっての


「生かすも殺すもお前さん次第…」

「…ぇ…」


老婆はふふふと笑い俺の手にタブレットを掴ませると
ニヤリとわらって立ち去った


俺の手に残されたタブレット

俺はそれを呆然と見つめ、気付いた


…そこには綺麗な顔の人が眠っていて
思わず指で画面に触れてしまった

すると閉じられていた双眸がゆっくりと開き
そして俺を見つめる


「…誰?」

「…はっ?」


突然話しかけられてどうしようかと思ったけど
もしかしたらSiriみたいなやつなのかと思ってとりあえず挨拶


「俺はユノ。お前Siri?」

「…僕は…シム・チャンミン…」

「へぇ…Siriじゃなくてシム?
これってCG?最近のは凄いな…」

「…どうして僕を起こしたんですか?」

「…いや、今これを受け取って
画面に触っただけなんだけど…」

「…貴方もあの老婆に逢ったのですね…」

「えっ?さっきのお婆さんの事?
知ってるの?」

「知ってるも何も…僕を……っ!?あ!!ぁあっ!!」

「どうした!?」


画面の中のチャンミンは
まるで雷にでも打たれたかのように痙攣していて
最新のCGってのは凄いなぁと関心


「はっ、ぁ、はぁ…どうやら…
あの老婆に都合の悪い事は言えないようになっているようです…」

「都合の悪い事?」

「はぁ…」


どんな設定なのか知らないけれど
このトークアプリは面白い

俺は思わぬ拾い物をしたものだと思いながら帰宅

いざ、寝ようと思った時に再び思い出して手にしてみる

するとやはり彼は眠っていて
タップすると目覚めた


「…おはよう、チャンミン」

「…もう眠る時間じゃないですか?」


嫌そうにそう答えるから
何だか面白くなって
変な質問をどんどんしてみたくなる


「チャンミンは男の人?」

「…この容姿で女性なら、相当大女だと思いますよ」

「眠いなぁ」

「じゃあ、寝ろ」

「明日の朝食は何が食べたい?」

「貴方には作れそうもありません」

「……」


…ツンデレ?
ツンはわかったから
デレをお願いしたい


「好きだよ…」

「そうですか、ありがとうございます(棒読み)」

「愛してる」

「知り合ったばかりでそんな事を言うなんて
貴方チャラ男ですか?」

「つれないな…」

「…僕は魚じゃありません」


そういう意味じゃない
って思って少し笑ってしまったけど
このタブレット、面白い(笑)


それからの毎日は
俺はいつもチャンミンと共にあった

弱音を吐けば叱責されて
からかえば拗ねて
褒めれば照れて画面から消える

どんなゲームよりも面白くて
どんな友人よりも楽しくて

すると友人達は俺に彼女でも出来たのかとからかうから
タブレットのアプリだと言うと
まるでアプリが恋人だなと笑った


「チャンミン」

「はい」

「俺と付き合ってみる?」

「…買い物ですか?」

「恋とか愛とかの…」

「…鯉とかeyeとか…?」

「…わざとか?」

「…技とか?」

「…誤変換…」

「…五編完…」

「…好きだよ…」

「…隙だよ…」


思わず吹き出して笑うと
チャンミンは言った


「こんな僕に愛を囁くなんて
貴方、実はモテない人なんですね」


…口調は強くて不満そうなのに
耳が赤くなってるのは照れてるから?

なんだよ、可愛いじゃないかよ


「そうだよ、だからさチャンミン
俺と付き合ってみない?」

「…僕は…」


黙ってしまったチャンミン
やはりツンデレだと思いながら画面をタップしてみると反応が無い


「あれ?チャンミン?」


どうやらフリーズしてしまったようで
電源を落とそうとした


「ユノ、駄目っ!!」

「えっ?」


画面は動いて無いのに
チャンミンの声が聞こえる


「どうした?チャンミン?」

「…ユノ、僕に残された時間は…
…もう、少ししか無いみたい…」


…それって、どういう意味…?





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