チャンミンが熱を出した
それは疲れているのに俺が無理させてしまったからなのではないか
そう思うからゴメンと言ったのに
チャンミンは自分がリビングで寝てしまったからだと言う
それは、俺が遅くなったから
寝てしまったワケで
結局俺のせいだ
熱が高いのに一緒に居てやれないから
シウォンに連絡して執事のアンさんを借りられないかと言ってみた
するとシウォンはどうしたのかと聞くから
チャンミンが熱を出してしまったのに自分は一緒に居られないと伝えると
『わかりました』
そう言ってアンさんをマンションに寄越してくれる事になった
最近は彼に頼ってばかりで
本当に申し訳ないと思う
何年も連絡しなかったのに
何も聞かずに応えてくれるのは
本当にありがたい
「ユンホ様、チャンミン様の具合はどのような感じでしょうか?」
「熱が高くて、怠そうなんだよ」
「インフルエンザかも知れませんね…」
「…インフルエンザ…」
「もしもそうだった時の為にホテルをご用意いたしますか?」
「…いや、いい、大丈夫だから」
「失礼いたしました…」
「そうだ、シウォンは今日は仕事?」
「はい」
仕事なんかしなくても暮らせる程の財力を持っているのに
それを良しとしないところが好きだと思う
「チャンミン様の事はおまかせください」
「宜しく頼むよ」
それから稽古に行って
怒鳴られたりしながら頑張って
ふと、チャンミンの具合はどうだろうかと思う
休憩時間に電話をしたら
インフルエンザではなかったと言われ
やはり自分が無理をさせてしまったのだと反省
よく眠っているとの事なので
安心して自分のすべき事を頑張った
*****
「おかえりなさいませ…」
「ただいま、チャンミンは?」
「よく眠っておられます」
「そっか、ありがとう」
「ユンホ様、明日はいかがなさいますか?」
「…明日か…」
「はい、シウォン様はユンホ様の指示に従うようにとおっしゃっておりました」
「そっか、シウォンにありがとうって伝えておいて」
「かしこまりました」
明日も家に居ないから
アンさんが居てくれると助かる
「明日も今日と同じようにお願いできるか?」
「はい、かしこまりました」
彼が帰宅したのでチャンミンの顔を見に寝室へ行くと
今朝より幾分穏やかに眠っていた
「一緒に居てやれなくて、ごめんな…」
愛らしいその唇に人差し指で触れて
少し熱い肌がよからぬ事を想像させる
彼、チャンミンに溺れている、と思う
夢の為に恋人なんか作らない
そう思っていたのに
今、こうして彼を愛し、夢を追い続け
彼に無理をさせて
俺は何をしたいのだろう
寂しい思いをさせたくないと思いながらも
現実には彼を独りにして
あぁ、だから嫌だったんだ
恋人を作るべきではなかった…
だけど
どちらも手に入れたいと思う事は
罪ではないハズだ
*****
朝、目醒めると
チャンミンの呼吸が穏やかになっていて
そっと首筋に触れる
「まだ熱いな…」
「…ユノ?」
「…おはよう…」
「…おはよ…」
「具合はどう?」
「…まだ怠いや…」
もしかしたらやはりインフルエンザかも知れない
もう一度検査をして貰うべきだ
「チャンミナ、今日もアンさんが来てくれるから」
「…アンさん…?」
「シウォンの執事の…」
「あぁ、わかった、あの人…」
俺が出掛ける少し前にアンさんは来てくれ
熱が下がっていない事を告げると
医者の手配をしたくれた
「ユンホ様、今日は私だけではなく
もうひとり…二人でチャンミン様のお世話をさせていただきます」
「二人で?何で?」
「実は昨日、チャンミン様がトイレに行かれた時に倒れてしまいまして
私ひとりでは運んで差し上げられなかったのです…」
「…えっ?じゃあ、」
「その時シウォン様がお見舞いに来てくださいまして、お力をお借りいたしました…」
「…そうだったのか…」
「…昨夜お話しすべきでございました…」
「いや、いいよ、それでもうひとりは?」
「今、車で待機しておりますので
お出掛けにお使いください」
「…そういうのいいから…」
「…シウォン様から、くれぐれも宜しくとの事で御座いましたので…」
「…わかったよ…」
シウォンは
俺の弟、のような存在で
子供の頃から同じ時間を共有してきた
「お迎えは如何いたしますか?」
「…連絡入れる」
「かしこまりました」
それから稽古に出掛け
休憩時間に連絡を入れたら
チャンミンがインフルエンザだったと言われ
やっぱり、そう思ったら
「チャンミン様が稽古場近くのホテルをユンホ様にと仰有いましたので
ホテルをご用意させていただきました」
「…は?」
「…ユンホ様が
インフルエンザにならない為に、と…」
「…チャンミナ…」
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